Fifty-Fifty
大花カツヲ
部活が終わった部室のかたすみ‥‥。
忍足は跡部のうしろから抱きついていた。
「ここがえぇのんか?」
片方の手で跡部の体を支えながら、もう片方の手はシャツの中に入れていた。
「‥‥やっ‥‥やめろ‥‥まだ人がいるだろ」
「大丈夫やろ。まだシャワー浴びてるみたいやし。でもはよせんと出てくるかもしれへんで‥‥景ちゃん、そんなん好きちゃうん?」
「‥‥バカ‥‥嫌に決まってるだろ!!」
「ほんまに?オレは好きやけどなぁ」
その間にも忍足は手を進めていく。
「‥‥っん‥‥ちょっ‥‥まって‥‥」
「どないしたん?」
「なんか‥‥聞こえた‥‥」
「えっ?」
二人とも動きを止めて耳をすますと、確かにシャワー以外の音がする。
「‥‥‥‥」
『‥‥いっ‥‥っんあ‥‥‥もぅ‥‥んんっ‥‥』
シャワーの音にかき消されながらも、かすかに聞こえてきた。
「なんや、向こうもお盛んやな」
忍足は跡部の耳元で言うが、跡部は驚きのあまり声が出ない。
『‥‥ししどさん‥‥‥も‥‥イキ‥‥‥』
『‥‥あっあっ‥‥ちょ‥た‥‥ああぁっっ』
「‥‥‥」
跡部は顔を赤くして、うつむいてしまった。
「鳳と宍戸やな‥‥」
忍足が言うと跡部は、ぱっと顔を上げて忍足の腹にヒジを入れた。
「‥‥うっ‥‥なにすんねん」
「あんなの絶対に嫌だからなっ」
跡部は忍足から離れると、それだけ言ってその場から立ち去ってしまった。
「オレはどないせぇっちゅうねん‥‥」
うずくまっていた忍足は、しばらくして起き上がると部室をあとにした。
次の日。
部活に来た忍足は、鳳と宍戸を見付けると近付いて言った。
「お二人さんはいつもあんなとこでしとるんか?」
その言葉に二人が振り返ると、忍足は少しニヤけた顔で立っていた。
「なっ‥‥!?」
「たまにですよ」
二人同時に言うが、宍戸はすぐに下を向いてしまった。
「うちらも使いたかったんやけど先約がおったからなぁ‥‥振られてもぅたわ‥‥」
「すいませんでした。しばらくは使わないようにします」
そう言うと、鳳は宍戸と一緒に部活へ戻っていった。
「はぁ‥‥おおきに」
呆れた顔で呟いて忍足も部活へと行った。 |